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スポーツの秋、五十肩と思い様子を見ていたが痛みが良くならない?


整形外科副部長  竹内 峻

今年の夏上越市は水不足に悩まされましたが、現在その凄まじい夏の暑さも過ぎ去り、少しずつ肌寒くなってきました。夏の運動不足を解消するかのように運動を始める人も多いかもしれません。

普段我々整形外科医が外来診療をするにあたり、患者さんが多く困っておられる1つは肩痛です。高齢者の慢性疼痛(3ヶ月以上続く疼痛)の中で14.6 %は肩痛であると言われており、多くの患者さんが肩痛で困っていると言えます。
50歳を超えて肩が痛くなると皆さんがまず思い浮かべるのは先にも挙げたように五十肩かと思います。しかし五十肩とは様々な原因により肩が炎症を起こして肩の動きが悪くなった状態のことをいいます。(五十肩の別名を肩関節周囲炎と言います。)リハビリをしたり、痛み止めを飲んでも原因の治療をしなければ良くならないこともあります。

その1つの原因に腱板断裂と呼ばれるものがあります。肩には4つの肩板(インナーマッスル:棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)が存在し、1つでも損傷すると肩の求心位(定位置)が保てず、とある動きをすると肩の痛みが出たり夜痛みで目覚めたりします。50歳を超えると4人に1人はこの肩板が傷んでいると言われております。腱板断裂には大きく2種類に分けられ、肩をぶつけて痛めてしまう外傷性の腱板断裂と、加齢に伴い段々と腱板が傷んでしまう変性腱板断裂があります。

この肩板断裂は超音波検査、MRIにより診断いたします。診断が確定すると注射・リハビリによる保存加療、場合によっては手術(関節鏡と呼ばれる内視鏡を用いた手術や大腿部から筋膜を移植する手術、場合によっては人工関節の手術)が必要になることもあります。
肩をぶつけてから痛みが続く(外傷性の腱板断裂などが疑われます)、様子を見ているがなかなか症状が改善しないなどあればMRI検査での精密検査を検討してみてはいかがでしょうか。
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