ろうさいニュース
Re-再び-habi(t)-習慣-litation、新たな生活習慣を獲得すること
脳神経外科部長 青木 悟
脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血という病気を総称して脳卒中と呼びます。脳卒中後には脳損傷により後遺障害が遺る場合が多く、その症状や程度は脳損傷の部位、程度によります。
脳卒中で手足が動かなくなったが、頑張ってリハビリすればきっと良くなる、そんな認識の方もいらっしゃいますが、脳卒中後の後遺症は治りません。脱落した神経細胞は新生しないからです。壊れた神経細胞は生き返らないが、繰り返し練習することで生き残った周囲の神経細胞から新しい枝が伸長し、筋力アップや利き手交換、装具使用など様々な方法で活動を再検すること、これがリハビリテーションです。
活動再建には繰り返しの練習を要します。しかし高齢者に合併しやすい変形性膝関節症、腰痛、認知症や心疾患、呼吸器疾患、脳損傷に伴う高次脳機能障害や、御本人のキャラクターなどにより、繰り返しの練習ができない場合があります。そのような場合には、当初目指せると思っていた活動状態よりもかなり低い状態でゴールとなってしまう場合があります。患者さんの状態を見ながら、妥当と思われるゴールを設定し、時に調整しながら患者さんが目指せる最良の状態へ事故なく導くことを目指し、日々の診療を行っています。
このように獲得していただく新たな活動様式が次の病気でダメにならないよう、患者さんには定期的な運動をするよう指導します。定期的な運動は筋力低下などの廃用症候群を予防するばかりではなく、有酸素運動は血圧を安定させ、悪玉コレステロールを減らし、血糖を安定させることで動脈硬化の進行を抑制します。従って患者さんの状態が許せば定期的に運動できるだけの筋力や習慣を身に着けることもリハビリテーションの目標になります。
認知機能低下や重度の麻痺などにより獲得できる活動に限りがある患者さんも多いです。この場合には装具や三角巾、麻痺のある手でも把持しやすいスプーン、ポータブルトイレや電動ベッドなどの様々な道具を使用して活動を後押しすること、場合によっては施設や訪問ヘルパーさんなど人の手を借りての生活再建を調整することも大きな意味でのリハビリテーションに含まれます。様々な状態の患者さんそれぞれに新たな最適の生活を提供することがリハビリテーションの目的と考えています。 |
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