怖くない歯科治療
「歯の治療は怖い」と思う方は大勢いらっしゃると思います。確かにキーンと音をたてて歯を削れられる時の感覚や、チクッと麻酔の針を刺されたときの痛み、歯を抜かれる時の何ともいえない怖さは、一度経験すると二度と御免と思われるかもしれません。また口の中に器具が入ると、すぐに吐き気が起きてしまって治療ができないこともあるかもしれません。心臓などに病気を抱えていて、安心して治療が受けられない方もいらっしゃると思います。この嫌な感覚や恐怖心、吐き気、不安感にどうしても我慢できず歯科に通えなくなり、どんどん虫歯が進行してしまっている方がいらっしゃいませんか。
当科では恐怖心を取り除いて、快適に歯の治療ができるよう「精神鎮静法」という方法を用いています。この方法には「笑気吸入鎮静法」と「静脈内鎮静法」があります。
笑気吸入鎮静法
笑気ガス〈亜酸化窒素(N2O)〉と酸素の混合ガスを鼻マスクから吸入することで気分がリラックスしてきます。この間に歯の治療を行います。ガスを吸い始めると5分位で効果が現れます。効き始めると体が暖かくなり、ふわふわ浮いたような感じになり、「気持ちが落ち着いた」状態になります。そして治療終了後5分程で元にもどります。
この方法は非常に簡便で安全性も高く、手軽に行えます。
静脈内鎮静法
血管(静脈)に針を刺し、そこから鎮静薬を入れることでリラックスした状態になる方法です。この方法は恐怖心が強い方でも、ほぼ確実に鎮静状態が得られますし、治療中の嫌な記憶がほとんど残りません。反面、薬の量によっては若干呼吸が弱くなることもあるので、必ずいろいろなモニタを体に付けて行います。また治療終了後眠気が残るため、しばらく休憩してからお帰りいただきます。そして当日は車の運転ができません。また重要な仕事は避けたほうが良いです。
当科では恐怖心の強い方のみならず、そうでない方でもこの方法で鎮静を行い、局所麻酔下、比較的大きい手術まで行っています。手術後のアンケートではほとんどの方がもう一回この方法なら治療を受けても良いとお答えになっています。